ぼくらだけが世界

これは見せてもいいもの

あんさんぶるスターズ! Extra Stage ~Memory of Marionette~

観劇日:2019.01.13(東京)、2019.02.02&2019.02.03(大阪)*1

ライビュ:2019.02.15

 

観て最初の感想が「ほんとに斎宮宗や…」だった。

友人と連番したけれど、マチソワ間はずっとその話をしていた。

例えば、斎宮宗が踊るところなんて見たことがないはずなのに『あ~わかる、斎宮宗はこんな感じに踊るわ』と思ってしまうような体の使い方だった。癖が強いというか、ヒップホップではなくて舞踏会での踊りというか(??)

背筋をぴんと伸ばして(とてもスタイルがよい)歩く姿もとても斎宮宗だった。斎宮宗の歩く姿など見たことなんかないはずなのに。

友人が言っていて印象に残っているのは「あんすたはあんすたっぽい言葉の言い方があるけど、それが変じゃなかったのがすごい」だった。観てる側が思い描いている斎宮宗のイメージがあると思うけれど、ゲームや資料から最大限斎宮宗のイメージを汲み取って舞台上で斎宮宗であってくれた山崎くんはすごい役者だと思った。

改めて思い返しても、本当にただの斎宮宗だった。

ストーリーについて、とにかく観ていてしんどかった。マリオネットとミルキーウエイは原作ゲームで読んでいたのだけど、マリオネットは特にしんどかった。音声トラブルがある場面で観客のペンライトがだんだん消えていく感じ、もはやぞわぞわした。ここで音声が切れてしまうと分かっているのに、時間よ止まれと思ってしまうし、砂上ノ楼閣を聞くだけでちょっとうるっとくる。

「失敗させないことが愛情だと思っていたのだけれど」(うろ覚えなのでニュアンス)という宗の独白のセリフで一番泣きそうになった。原作のゲームで日々樹渉が宗のことを「愛の人だ」と言うけれど、宗は愛の量はとても多いのに表現の仕方が下手なんだなと思っている。失敗させないというのが愛だというのなら、録音した音声を流すことも事前に細部まできっちりと作りこんでいくことも彼なりの愛情だったはず。みかもなずなもそのことには気づいていたからValkyrieを壊したくなかったんだと思う。完璧な芸術が崩れた時、彼からみかとなずなに与えるばかりだった愛は、いびつな歌という形で宗に与えられたのだった。

個人的に、芸術に完璧はないという考えを私は持っているので、完璧な芸術という言葉はすごくアンチテーゼを感じる言葉だと思っている。なので、宗がみかを近くに置くのもさもありなんという感じだ。

 

 

東京公演を観て、また観たいと思い大阪のチケットを取ったら公演中止になり、ただ大阪に観光しに来ただけになったけれど、チケット代は払い戻しされるとのアナウンスがあったのでまあいいかと驚くほど冷静になれた。折角作ったうちわも結局あまり使うことがなかったので、それが少々残念ではあるけれど。

トークイベントには参加した。しゃべると宗の格式がどこかに行ってしまうのが最高に面白かった。でも、役のスイッチが入ると醸す雰囲気も斎宮宗になるのがすごい。

トークイベントで印象に残っているのは英智役の笹森くん。めちゃくちゃ愉快な英智だった。fineのメンバーに役のスイッチを押していくくだりとか、公演前の円陣とか、自分たちなりのfineを作り上げてる感じがして、好感度が上がった。どうしても先代と比較されるだろうし、先代と同じようにしていては駄目だったんだと個人的には思うので。

その後に見たライビュで、笹森くん演じる英智が、Valkyrieの実力を目の当たりにした時の、口元がふるふると震えて悔しがっている時の表情がすごく好きだった。 私は原作のエレメンツを読んで以降、英智のことを許せない人間なんですが、今回の笹森くん演じる英智を見て、財力や知力など自分の持てるものすべてを使って圧倒的な才をもつ奇人と同じ舞台に立とうとする、ある意味で泥臭い人間味を感じて少しだけ好きになれた気がした。演じる人によって受ける印象は変わることに改めて気づかされた。

正直、原作厨でもないのにまさか遠征してまで多ステすることになるとは思わなかったので、自分が一番びっくりしている。そして人生初の公演中止からの払い戻しになったこと、死ぬまで忘れないと思う。それも含めて楽しいあんステだった。

 

すべてに不満がないわけではないけれど、それはここには書かないでおきます。

 

*1:出演者の体調不良により公演中止、チケット代払い戻しの上で、代替イベントとしてトークショーが開催された。