memo

好きな時に好きなことを書く

恋は罪悪ですよ

「しかし、しかし君、恋は罪悪ですよ。わかっていますか?」

夏目漱石『こころ』のセリフである。

高校の現代文の授業で一部だけを読んで続きが気になり、図書室で文庫を借り、全文を読み、その後文庫を買い、しばらくして手放し、でも何年も経ってまた読みたくなり、再度買い直したことがある。今では我が家の本棚に並べられ、時折気が向いた時に本を開いている。

先日、人生で初めて劇団四季を観た。きっかけは某ミュに出ていた人が四季に入団したからだ。修学旅行に劇団四季の観劇が組み込まれている学校も多いようだが、私が通っていた中学校は世紀末かな?というくらい荒れていたので長時間の観劇は無理だとの判断がされたのか、コースに観劇はなかったので、本当に人生で初の体験であった。

電子チケットだったので機械にかざして入場すると観劇に来たんだなぁ、とわくわくした。キャスト表を見ると、観劇に至るきっかけになった人は今日出るらしく、わくわくが更に増した。多分私の性格からしても他の役者でも楽しめたとは思うが。パンフレットを買って、階段を上り、席に向かう。チケット代をケチって3階席を買ったので3階まで上る。バルコニー席だと座席前の肘掛を使って前のめりでの観劇が出来るというのにカルチャーショックを受けた。前のめりにならないと舞台がほぼ見えないが、逆に言えば前のめりになってしまえば舞台上部以外はよく見えた。3階席の最前席だったので視界を遮る物がなく、快適だ。隣の席は家族連れで、私に近い方から祖母、母、父、子だったと思う。子供の頃から観劇体験ができるのはいいな、と地方出身の私は思った。暗転し、十分ほど経った頃だろうか、近くからぐす、ぐず、と嗚咽が聞こえてきた。休憩時間に判明したのだが、家族連れの母が泣いていた。

私は痛いほどに純真なキャラクターに弱い。なので、その母の気持ちはとてもよく分かる。

カジモド、というのが不気味な見た目から鐘つきとしてノートルダム大聖堂から出てはならないとフロローから言いつけられている。カジモドは良くも悪くも純粋なのだ。だからこそフロローの言いつけを守ってずっと外には出なかった。禁止されると憧れが募るのは当たり前の感情である。祭りの日、言いつけを破って外に出て、エスメラルダに出会い…というストーリーなのだが、観ていて一番最初に思い浮かんだのが冒頭に書いた「恋は罪悪ですよ」という言葉だった。恋は奪うもので愛は与えるものだといわれたりもするが、まさにそれだな、と思った。ほしいと思ってしまったら、どうやってもほしい。エスメラルダはカジモドを友人としてしか見ず、恋愛の相手としてはフィーバスという違う相手を選んでしまう。これも残酷だと思った。優しい言葉は、すべて友人としての言葉だったのか、と。

最後はメリーバッドエンド、となるのだろうか。ある意味では幸せな結末だったのかもしれない。

観終わって、胸がいっぱいになった。とても良い観劇体験だった。

いい意味で小説を読んでいるような舞台だった。歌に乗せて話が展開していく。ページを捲るようにストーリーが進んで行くかと思えば、ここぞという見せ場はしっかりじっくり見せる。

 他にも観たい演目はあるので、また観に行きたいと思います。